ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、バイナンスとドナルド・トランプ大統領は、ワールド・リバティ・フィナンシャルを世界で最も強力なステーブルコインにするための重要な推進力と引き換えに、バイナンスのすべての犯罪行為に目をつぶることを大統領に指示する協定を結んだという。
どうやら、両者の交渉は昨年12月に始まり、バイナンスの創業者である趙長鵬氏がトランプ氏の2人の息子、エリック氏とトランプ・ジュニア氏に初めて会ったようだ。 この会談の直後から、バイナンスとワールド・リバティ・フィナンシャルの交渉は加速した。
進化する暗号ランドスケープ
この取引は、トランプ大統領が米国の暗号産業に革命を起こし、暗号産業に対して米国の状況をより友好的なものにしようと努力していることを踏まえたものである。
トランプ大統領が暗号業界への支持を示す方法のひとつが、バイデン前政権によって迫害された暗号業界のトップ経営者たちに恩赦を与えることだ。暗号業界のリーダーたちのリストには、BiMEXの共同設立者アーサー・ヘイ、シルクロードの創設者ロス・ウルブリヒトなどが含まれている。
同様に、バイナンスも大統領が世界最大の取引所に同じ恩恵を与えてくれることを望んでいる。トランプ大統領の力は、同社が法的トラブルから逃れる助けにもなるだろう。
内部関係者によると、暗号取引所バイナンスの幹部は先月ワシントンで米財務省高官と会談し、同社に対する政府の監視を緩和することを話し合うと同時に、トランプ大統領一族の暗号企業との取引を模索したという。
この調査により、同社は、テロリスト、麻薬密売人、制裁を受けた団体が同社の取引所を通じて数十億ドルを送金することを許したとして、過去最高の43億ドルの制裁金を失うことになった。
また、2023年にマネーロンダリング防止法違反で有罪を認めた同社にとって、これは米国市場への復帰の第一歩となる。
ワールド・リバティ・フィナンシャルにとって、バイナンスの市場影響力は暗号業界における重要なプレーヤーになるのに役立つ可能性がある。トランプ一族と不動産王のスティーブ・ウィトコフが共同設立したワールド・リバティ・フィナンシャルは、バイナンスの2億5000万人を超える膨大なユーザーベースと1日の取引高650億ドルを活用することを目指している。
USD1と名付けられたこの安定コインは、TetherやCircleのような業界の巨人に匹敵する可能性があり、同時にトランプ一族に数十億の利益をもたらす可能性がある。
トランプ一族にとって、この提携は急成長する暗号業界で影響力を固める絶好の機会となる。
規制撤廃、暗号の新時代を告げる?
こうした動きは、トランプ政権下で米国の暗号通貨規制が大幅に変更されたタイミングと重なる。
ここ数週間で、司法省は暗号通貨部門を解散し、企業監視プログラムを一時停止した。
しかし、バイナンスにとってすべてのハードルがクリアされたわけではない。財務省が任命した規制当局が依然として大きな障害となっており、会社の記録へのアクセスや従業員へのインタビューをめぐって紛争が続いている。
こうした課題にもかかわらず、内部関係者によれば、バイナンスの幹部はトランプ大統領の指導下で有利な結果を確保できると楽観視しているという。
バイナンスとワールド・リバティ・フィナンシャルが計画を推進する中、この提携が暗号通貨の将来にとって何を意味するのか、業界関係者の意見は依然として分かれている。支持者は、この提携は主流への導入と規制改革に向けた大胆な一歩だと主張する。しかし批評家は、倫理的慣行よりも政治的提携を優先させることで、危険な前例を作りかねないと警告している。
ひとつはっきりしていることは、バイナンスとトランプ・ファミリーのこの利害の一致したコラボレーションは、今後何年も反響を呼ぶであろう方法で暗号の状況を再形成しているということだ。